专利摘要:
鉱物誘導基油及びフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を含む基油配合物は、下処理済み鉱油の品質向上に使用できる。該フィッシャー・トロプシュ油は、鉱物誘導基油含有基油配合物の揮発減量の理論的に予測した増大値よりも低くすることができる。したがって、該フィッシャー・トロプシュ基油は、理論的に予測した最大濃度c’よりも高い濃度cのフィッシャー・トロプシュ基油を該配合物に添加することにより、該配合物に対する目標最大揮発減量Xを超えて増大させることなく、該配合物の目標最大揮発減量Xをなお達成しながら、常温流れ特性、粘度分布及び酸化安定性から選択された該配合物の1つ以上の特性を改良するのに使用できる。なし
公开号:JP2011506632A
申请号:JP2010536449
申请日:2008-12-04
公开日:2011-03-03
发明作者:デヴィッド・ジョン・ウェドロック
申请人:シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイShell Internationale Research Maatschappij Besloten Vennootshap;
IPC主号:C10M111-02
专利说明:

[0001] 発明の分野
本発明は基油配合物、その製造及び使用に関し、また新規目的のため、基油配合物への特定種の油の使用に関する。]
背景技術

[0002] 発明の背景
重質炭化水素油を基油として、広範囲の用途、例えば潤滑油配合物、電気絶縁油及び作動流体の基材として使用することが知られている。このような基油は、通常、鉱油、例えば石油誘導油である。]
[0003] フィッシャー・トロプシュ合成を用いて基油を製造することも知られている。フィッシャー・トロプシュ縮合法は、一酸化炭素及び水素を適切な触媒の存在下、高温(例えば125〜300℃、好ましくは175〜250℃)及び/又は高圧(例えば5〜100バール、好ましくは12〜50バール)で長鎖、通常、パラフィン性の炭化水素に転化する反応である。]
[0004] フィッシャー・トロプシュ法は、LPG、ナフサ、ケロシン及びガス油フラクションを含む或る範囲の炭化水素燃料を製造するのに使用できる。これら燃料のうち、ガス油は石油誘導ガス油とブレンドして、特に自動車用ディーゼル燃料のような中間蒸留物燃料組成物に使用されてきた。重質フラクション(通常、C23〜C40)は、水素化処理及び減圧蒸留に従って、異なる蒸留特性及び粘度を有する、例えば潤滑基油原料として有用な一連の基油を生成できる。]
[0005] 例えばWO−A−02070627及びWO−A−02070629には、フィッシャー・トロプシュ法で作った蝋からイソパラフィン性基油を製造する方法が記載されている。このようなフィッシャー・トロプシュ誘導基油は、優れた低温特性、例えば低流動点を有する傾向があり、これら基油の製造に使用される方法が鉱物原油源から製造される同様な基油の製造法に比べて、比較的簡単であることからも魅力的である。]
[0006] 基油は、意図する用途により、多くの場合、粘度、引火点、蒸留特性、酸化安定性及び流れ特性(特に低温性能)に関する厳しい要求に適合する必要がある。特に高温環境下又は高いピーク温度を含む状況下で使用する場合、電気絶縁油としての使用を意図した基油には、例えば引火点の高いことが特に重要である。基油を低温環境下で使用することを意図すれば、流動点の低下が重要である。例えば地域の要求又は顧客の仕様に適合させるには、特定の性能が要求されるかも知れない。]
[0007] 基油はその特性により複数のグループに分類される。同様に、これらの特性は、油の処理方法により、また油の処理程度により影響を受けることが多い。いわゆる“グループI”基油は、飽和炭化水素成分を90重量%未満、及び/又は硫黄を0.03重量%より多く含有しなければならないし、また粘度指数が80以上120未満でなければならない。グループI基油は、通常、芳香族成分を10重量%以上、例えば15〜35重量%、及び飽和物を約65〜85重量%含有し、また溶剤脱蝋、及び芳香族やナフテンのような他の望ましくない成分の溶剤抽出のような比較的穏やかな処理条件を受けている。]
[0008] “グループII”基油は一層高品質で、飽和物を90重量%以上及び硫黄を0.03重量%以下含有しなければならないし、また粘度指数は80以上120未満でなければならない。このような品質は、基油に対し更に厳しい処理、通常、望ましくない成分を除去するよりもむしろ転化するため、水素化処理を行えば、達成され、したがって、基油の製造が一層高価となる。普通のグループII基油は飽和物を約93重量%以上及び芳香族を約7重量%未満含有する。]
[0009] なお一層高品質の“グループIII”基油はグループII基油と同じ飽和物及び硫黄含有量要件を満足するが、粘度指数が120を超えなければならない。これらの特性も比較的厳しい水素化処理及び接触脱蝋工程により達成される。普通のグループIII基油は飽和物を95重量%以上及び芳香族を5重量%未満含有する。前記種類のフィッシャー・トロプシュ誘導基油は通常、グループIII基油として分類される。]
[0010] 一般に、特定の関係(context)で使用するために改良した特性を有する基油を製造できる、及び/又は所望セットの特性を有するが、時間も費用も余りかからない製造技術を用いて基油を製造できることが望ましい。]
[0011] US−B−7144497から、鉱物誘導基油を低粘度のフィッシャー・トロプシュ誘導基油とブレンドして、全体として高粘度指数の基油ブレンドを製造することが知られている。このブレンドの目的の1つは、潤滑基油としての使用に好適化するため、前記低粘度フィッシャー・トロプシュ油を品質向上する(upgrade)ことであると述べている。]
発明が解決しようとする課題

[0012] しかし、特定種の基油を一緒にブレンドすると、得られるブレンドは、特に粘度法及び酸化安定性に関連(context)して、個々の構成成分の特性から予測できた特性よりも良好な特性を有する可能性があること、更には許容可能な、多くの場合、予測できた揮発減量よりも低い揮発減量を有する可能性があることを今回、意外にも見出した。これにより、更に高品質の基油ブレンドを製造できるか、或いは以前は必要と考えられていた品質よりも低品質の(したがってまた、少し(less)処理された)基油を用いて、所望セットの特性を有するブレンドを製造できる。同様に、これにより基油の配合を、通常、低製造コストで所望の仕様に促進できる、及び/又は低品質で、なお通常、安価な基油についての利用範囲を拡大できる。]
課題を解決するための手段

[0013] 本発明の第一の局面では、鉱物誘導基油とフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油とのブレンドを含む基油組成物が提供される。]
発明の効果

[0014] フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油が存在すると、ブレンド全体の特性を多くの方法で改良できる。一般的に言えば、ブレンドの粘度指数を増大し、ブレンドの酸化安定性及び常温流れ特性(特に流動点)を改良する。低粘度の軽質フィッシャー・トロプシュ誘導基油は、ブレンドされる鉱物誘導基油よりも揮発減量が高いにも拘らず、高粘度鉱物誘導基油とブレンドすると、揮発減量の予測増大値よりも低い値にすることも見出された。基油配合物には低い揮発減量が要求されることが多いので、これも有利となり得る。]
[0015] 更にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、基油ブレンドの冷時始動シミュレーター(CCS)動力学粘度を低下できることも見出された。CCS動力学粘度の低下は、基油配合物、特にエンジンオイルとしての使用を意図する基油配合物には望ましい可能性がある。]
[0016] これは、低品質鉱物誘導基油がフィッシャー・トロプシュ誘導基油の添加により効果的に“品質向上”し得ること、及び更に、この改良の程度が、揮発減量のような他の特性を過度に損なうことなく、理論的に予測できた改良の程度よりも大きい可能性があることを意味する。同様に、これは低品質で、少し処理された所定鉱物基油の潜在的な用途を拡大できる、及び/又は使用の点で鉱物基油に必要とされる特性をなお安全に守りながら、該鉱物基油の処理程度を低下できる。処理程度の低下により、当然、コストは下がり、基油の製造効率は向上し、また収率、汚染の可能性の低下、及びその他、実際のプロセス利益、の向上が可能となる。]
[0017] 本発明の基油配合物において、鉱物誘導基油は、通常、例えば石油精製プロセスで誘導される石油誘導基油である。この基油は、グループI、グループII又はグループIII基油、通常、グループI又はグループII基油のいずれかであってよい。基油の100℃での動粘度(VK 100)(ASTMD−445)は、例えば4〜12.5cSt(センチストークス)、或いは5又は6〜10cStであってよい。]
[0018] 特に鉱物誘導基油は“下処理済み(under-processed)”基油であってよい。下処理した基油とは、意図する用途に関連して、基油の必要とする特性を達成するため、適用できた処理の程度よりも低い程度の処理を使用前の基油に対し行った基油を意味する。鉱物誘導基油の下処理についてUS−B−7144497には予示するものはない。]
[0019] これに関連して“処理”は、望ましくない成分を除去するため、基油、特に鉱物誘導基油の製造中、適用した処理の型を意味する。このような成分としては、通常、芳香族(特にポリ芳香族)成分、及び/又は縮合(fused)ポリナフテン性成分がある。両成分は、油及び/又は蝋状成分(低温で結晶化しやすい種、主として直鎖パラフィン)の酸化安定性及び粘度指数を低下させる可能性がある。処理は、例えば通常のグループI基油の製造に使用されるような、望ましくない成分の溶剤抽出を含んでよい。その代りに又は更に、水素化処理、及び/又は接触脱蝋を含んでよい。これらの処理は、通常、更に高品質のグループII及びIII基油の製造に使用される一層厳しい処理形態である。]
[0020] こうして、例えば本発明に従って、下処理グループI基油流(即ち、通常のグループI基油よりも低い厳しさで処理されたもの)は、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油とのブレンドにより、目的に適うグループI基油に“品質向上する(upgrade)”ことができる。或いはグループII基油流は下処理できるが、その特性は、やはり特定の所望規格(例えば、更に厳しい処理を用いて達成された、通常、目的に適うグループII基油としての規格)に適合させるため、フィッシャー・トロプシュ油の添加により品質向上することができる。]
[0021] 本発明の配合物に使用される鉱物誘導基油の粘度指数(ASTMD−2270)は、例えば95未満であってよい(目的に適う通常の高粘度指数鉱物基油は、現在、95以上の粘度指数に処理される)。鉱物誘導基油の粘度指数は94又は93未満、例えば90〜93であってよい。流動点は、同じグループの目的に適う通常の鉱物基油よりも1、2又は3℃以上、或いは6℃以上、或いは12℃以上、低くてよい。例えば流動点(ASTM D−5950)は−9℃以上、又は−6℃以上、或いは場合により−3℃以上であってよい。]
[0022] 本発明の基油配合物では、フィッシャー・トロプシュ誘導基油は、通常、グループIII基油であるが、その抽出粘度指数によっては、場合によりグループIII基油であってもよい。フィッシャー・トロプシュ誘導基油は軽質基油、即ち、比較的低粘度の基油である。例えばVK 100は4cSt以下、或いは3.5又は3cSt以下、例えば2〜3.5又は2〜3cStである。40℃での動粘度(VK 40)は、好適には7.5〜25cSt、例えば9〜20cStである。このような軽質基油は、例えば全沸点範囲が320〜430℃、更に通常、350〜400℃の範囲であってよい。]
[0023] フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油に対して、好適には接触脱蝋、理想的には比較的厳しい脱蝋処理を行っておく。この基油は、本来、大部分パラフィン性で、パラフィン性成分を通常、80重量%以上、或いは85又は90重量%以上含有し、粘度指数の増大、したがって更に高品質の基油を作る助けとなる。粘度指数(ASTMD−2270)は115以上、例えば115〜125である。]
[0024] この油の製造に使用される方法により、ノルマルパラフィンとは対照的にイソパラフィンを比較的高割合で含有する。例えば1分子に対しイソパラフィンを90又は95重量%以上、含有できる。同様に、これはフィッシャー・トロプシュ油で改良した流れ特性を与える傾向がある。本発明で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導基油の流動点(ASTMD−5950)は、例えば−18℃以下、好ましくは−20又は−25又は−30℃以下、例えば−36〜−51℃であってよい。イソパラフィン含有量の増加は、同等の動粘度を有する鉱物誘導基油に比べて、フィッシャー・トロプシュ誘導基油の揮発減量の低下にも役立つ。本発明で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導基油のNoack揮発減量(CECL−40−A−93)は、好適には35〜60重量%、好ましくは40〜50重量%、更に好ましくは42〜45重量%である。]
[0025] このような“軽質”基油は、それ自体で潤滑油として使用する粘度が低すぎる。したがって、本発明の基油ブレンドにフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を使用すると、フィッシャー・トロプシュ基油製造法から得られる、余り使用されなかった生成物流の用途を効果的に拡大できる。したがって、本発明はフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油及び鉱物誘導基油の両方への交互使用法(alternative uses)を提供できるし、また基油生成物の配合を希望する者(those)に利用可能な選択肢を増大できる。]
[0026] これに関連して、用語“フィッシャー・トロプシュ誘導”は、材料がフィッシャー・トロプシュ縮合法の合成生成物又はその誘導体であることを意味する。用語“非フィッシャー・トロプシュ誘導”は、これに従って解釈してよい。したがって、フィッシャー・トロプシュ誘導基油は、添加した水素以外の実質部分がフィッシャー・トロプシュ縮合法から直接又は間接的に誘導された炭化水素流である。
フィッシャー・トロプシュ誘導生成物はGTL生成物と言ってもよい。]
[0027] 炭化水素生成物はフィッシャー・トロプシュ反応から直接得られ、或いは例えばフィッシャー・トロプシュ合成生成物の精留(fractionation)により間接的に、又は水素化処理したフィッシャー・トロプシュ合成生成物から間接的に得られる。水素化処理は、沸点範囲を調節するための水素化分解(例えばGB−B−2077289及びEP−A−0147873参照)及び/又は分岐パラフィンの割合を増大させることにより常温流れ特性を改良できる水素化異性化を含むことができる。EP−A−0583836には、2段階水素化処理法が記載されている。この方法は、まずフィッシャー・トロプシュ合成生成物に対し、実質的に異性化又は水素化分解(これはオレフィン性成分及び酸素含有成分を水素化する)を受けないような条件下で水素化転化を行ない、次いで得られた生成物の少なくとも一部を、水素化分解又は水素化異性化が起こって実質的にパラフィン性炭化水素生成物が生成するような条件下で水素化転化するというものである。次に、所望のフラクションは、例えば蒸留により単離できる。]
[0028] フィッシャー・トロプシュ縮合生成物の特性を改質するため、例えばUS−A−4125566やUS−A−4478955に記載されるように、重合、アルキル化、蒸留、分解−脱カルボキシル化、異性化、水素化改質等、その他の後合成処理も採用できる。]
[0029] パラフィン性炭化水素のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒は、一般に触媒活性成分として、周期表第VIII族の金属、特にルテニウム、鉄、コバルト又はニッケルを含有する。このような好適な触媒は、例えばEP−A−0583836(第3、4頁)に記載されている。]
[0030] フィッシャー・トロプシュ法の一例は、第5回Synfuels Worldwide Symposium(合成燃料ワールドワイドシンポジウム)、ワシントン州、1985年11月に報告されたvan der Burgt等の論文“Shell Middle Distillate Synthesis Process(シェル中間蒸留物合成法)”(Shell International Petroleum Company Ltd,ロンドン,英国,1989年11月の同じ表題の刊行物も参照)に記載されるSMDS(Shell Middle Distillate Synthesis)である。この方法(時にはシェル“ガス・ツー・リキッド(gas-to-liquid)”又は“GTL”技術とも言われる)は、天然ガス(主としてメタン)誘導合成ガスの重質長鎖炭化水素(パラフィン)蝋への転化により中間蒸留物範囲の生成物を生成する。次に、この重質長鎖炭化水素蝋は、水素化転化し精留して、ディーゼル燃料組成物に使用できるガス油のような液体輸送燃料を製造できる。このような方法により、軽質及び中間の両フラクション並びに特定の重質油を含む、或る粘度範囲の基油も製造できる。]
[0031] フィッシャー・トロプシュ法によりフィッシャー・トロプシュ誘導生成物は硫黄及び窒素を全く含まないか、含有しても検出不能な水準である。これらのヘテロ原子を含む化合物は、フィッシャー・トロプシュ触媒の触媒毒として作用する傾向があるので、合成ガス原料から除去される。これは触媒性能への影響の観点から、本発明の基油配合物に追加の利点を付与できる。]
[0032] 更に、通常操作されるフィッシャー・トロプシュ法は、芳香族成分を生成しないか又は殆ど生成しない。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料の芳香族成分は、ASTMD−4629又はIP−368方式により好適に測定でき、通常、1重量%未満、好ましくは0.5%重量%未満、更に好ましくは0.1%重量%未満である。同様に、これは油の酸化安定性を改良できる。]
[0033] 一般的に言ってフィッシャー・トロプシュ誘導炭化水素生成物は、例えば石油誘導油に比べて、極性成分、特に極性界面活性剤の水準が比較的低い。これは消泡性及び消曇性の改良に寄与できる。このような極性成分としては、例えば酸素化物、並びに硫黄及び窒素を含有する化合物が含まれてよい。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料中で硫黄水準の低下は、酸素化物及び窒素含有化合物の両方とも低水準であることを示す。これは、全て同じ処理法で除去されるからである。]
[0034] 本発明の配合物に好ましく使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、VK 100が約2〜4cSt或いは2〜3.5又は2〜3cStの基油で、フィッシャー・トロプシュ誘導蝋から誘導される。このような油は、後述するように、良好な純度及び高いパラフィン含有量を有すると共に、炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4である連続系列のイソパラフィンを含有する傾向がある。またフィッシャー・トロプシュ誘導基油は優れた低温特性を有する傾向があり、しかも鉱物誘導対応物に比べて、製造が比較的簡単である。]
[0035] 本発明で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導基油は、好適にはフィッシャー・トロプシュ蝋を水素化分解し、好ましくは得られた蝋状ラフィネートを脱蝋して得られる。このラフィネートは、前述の軽質基油流を含む多くの異なる生成物を製造するため、蒸留できる。]
[0036] フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、例えばWO−A−02070627、WO−A−02070629又はWO−A−2006136594に記載された種類であってよい、及び/又は前記文献に記載の方法に従って製造してよい。これら文献の内容の全ては、ここに援用する。]
[0037] 本発明で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油はフィッシャー・トロプシュ蝋から誘導されるので、本来、大部分パラフィン性であり、前述のように、通常、主要割合のイソパラフィンを含有する。この基油は、飽和物含有量(IP 386で測定)が98重量%を超える。飽和物含有量は[100−合計極性物含有量]とみなされる。この基油は、炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4(但し、nは20〜35)である一連のイソパラフィンを含有することが好ましい。該基油の飽和物含有量は、好ましくは99重量%を超え、更に好ましくは99.5重量%を超える。]
[0038] フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油のナフテン性化合物の含有量は、好ましくは0〜15重量%、更に好ましくは4〜9重量%である。
フィッシャー・トロプシュ誘導基油の引火点は、ASTMD−92で測定して、好適には185℃以上である。一般にフィッシャー・トロプシュ誘導基油の引火点は所定の粘度において、鉱物誘導基油に比べて有利に高い可能性がある。]
[0039] フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油中のナフテン性化合物の含有量及び所望連続系列のイソパラフィンの存在は、フィールドイオン化質量分析(FIMS)技術により測定できる。この技術によれば、まず基油サンプルを、移動相としてヘキサンの代りにペンタンを用いる他は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法IP368/01を用いて、極性(芳香族)相と非極性(飽和物)相とに分離する。次に、例えばFD/FIインターフェースを備えたFinnigan MAT90質量分光計を用いて飽和物フラクション及び芳香族フラクションを分析する。FI(“ソフト”イオン化技術)は、炭化水素種について炭素数及び水素欠陥を定量するのに使用される。]
[0040] 質量分析での化合物種の分類は、形成された特徴的なイオンにより決定され、普通、“z数”で分類される。この分類は全ての炭化水素種について一般式CnH2n+zで示される。飽和物相は芳香族相とは別に分析されるので、同じ理論量又はn数を有する異なるイソパラフィンの含有量を測定することが可能である。分光分析計の結果は、市販のソフトウエア(Sierra AnalyticsLLC,3453 Dragoo Park Drive,Modesto,カリフォルニアGA95350米国から入手できるPoly 32)を用いて処理し、各炭化水素種の相対割合を測定できる。]
[0041] 好ましくは前記連続系列のイソパラフィンを含有する、本発明の配合物に使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、好適にはパラフィン性蝋の水素化異性化、好ましくは、次に、溶剤又は接触脱蝋のような或る種の脱蝋により得られる。パラフィン性蝋はスラック蝋であってよい。更に好ましくは、純度及びパラフィン含有量が高いこと、及びこのような蝋は、所望の分子量範囲にあり、炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4である一連のイソパラフィンを含有する生成物を生じることから、フィッシャー・トロプシュ誘導蝋である。]
[0042] フィッシャー・トロプシュ誘導基油の製造に使用できるフィッシャー・トロプシュ法の例は、いわゆるSasolの商用スラリー相蒸留物技術、前述のシェル中間蒸留物合成法及び“AGC−21”エキソン・モービル法である。これらの方法及びその他の方法は、例えばEP−A−776959、EP−A−668342、US−A−4943672、US−A−5059299、WO−A−9934917及びWO−A−9920720に更に詳細に記載されている。通常、これらフィッシャー・トロプシュ合成生成物は、炭素原子数1〜100及び更には100を超える炭化水素を含有する。このような生成物は、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、酸素化成分及び不飽和成分を含有する。]
[0043] 基油が所望イソパラフィン性生成物の1種である場合、比較的重質のフィッシャー・トロプシュ誘導原料を用いるのが有利かも知れない。このような原料は、炭素原子数30以上の化合物を30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは55重量%以上含有する。更に、原料中の炭素原子数60以上の化合物と炭素原子数30以上60未満の化合物との重量比は、好ましくは少なくとも0.2、更に好ましくは少なくとも0.4、なお更に好ましくは少なくとも0.55である。]
[0044] 好ましくはフィッシャー・トロプシュ誘導原料は、ASF−α値(アンダーソン−シュルツ−フローリー連鎖成長ファクター)が少なくとも0.925、好ましくは少なくとも0.935、更に好ましくは少なくとも0.945、なお更に好ましくは少なくとも0.955のC20+フラクションを含有する。このようなフィッシャー・トロプシュ誘導原料は、前述のように、好適に重質の生成物を生成するいずれの方法によっても得られる。好適なフィッシャー・トロプシュ法の一例は、WO−A−9934917に記載されている。]
[0045] フィッシャー・トロプシュ誘導基油は、硫黄及び窒素を含有する化合物を含有しないか、或いは極めて微量含有する。これは、殆ど不純物を含まない合成ガスを使用するフィッシャー・トロプシュ反応で誘導された生成物に普通のことである。硫黄及び窒素水準は、一般に現在、硫黄に対しては5mg/kg、窒素に対しては1mg/kgをそれぞれの検出限界とする限界未満である。]
[0046] 最も広い意味では本発明は、第一の基油が実際にフィッシャー・トロプシュ誘導基油であってもなくても、前述した特性の1つ以上を有する第一のパラフィン性軽質基油の、第二の鉱物誘導基油を含む基油配合物への使用を包含する。]
[0047] しかし、軽質基油の製造に使用される方法は、フィッシャー・トロプシュ合成、水素化異性化工程及び任意の流動点降下工程を含むことが都合良い。ここで水素化異性化工程及び流動点降下工程は、
(a)フィッシャー・トロプシュ生成物を水素化分解/水素化異性化する工程、及び
(b)工程(a)の生成物から基油又は基油中間体フラクションを単離する工程、
によって行われる。]
[0048] 工程(b)で得られた基油の粘度及び/又は流動点が所望通りであれば、更に処理する必要はなく、この基油は本発明の配合物に直接使用できる。しかし、必要ならば、基油中間体フラクションの流動点は、更に工程(c)において溶剤脱蝋、更に好ましくは接触脱蝋により降下させてよい。]
[0049] 基油の所望粘度は、中間体基油フラクション又は脱蝋油から(蒸留により)好適な沸点範囲及び相当する粘度を有する生成物を単離すれば得られる。蒸留は、減圧蒸留工程であってよい。]
[0050] 工程(a)の水素化転化/水素化異性化反応は、水素及び触媒の存在下で行うことが好ましい。この触媒は、当業者に知られているものから選択でき、その例を以下に詳細に説明する。触媒は、原則として、当該技術分野でパラフィン性分子の異性化に好適であることが知られているいかなる触媒であってもよい。一般に好適な水素化転化/水素化異性化触媒は、非晶質シリカ−アルミナ(ASA)、アルミナ、弗素化アルミナ、モレキュラシーブ(ゼオライト)又はこれら2種以上の混合物のような耐火性酸化物担体上に水素化成分を担持して構成されたものである。]
[0051] 水素化転化/水素化異性化工程(a)に使用される好ましい触媒は、水素化成分として白金及び/又はパラジウムを含有するものである。非常に好ましい水素化転化/水素化異性化触媒は、非晶質シリカ−アルミナ(ASA)担体上に白金及びパラジウムを担持して構成される。白金及び/又はパラジウムは、担体の合計重量に対し元素として計算して、好適には0.1〜5.0重量%、更に好適には0.2〜2.0重量%存在する。両元素が存在する場合、白金対パラジウムの重量比は、広範な限界内で変化してよいが、好適には0.05〜10、更に好適には0.1〜5の範囲である。ASA触媒上の好適な貴金属の例は、例えばWO−A−9410264及びEP−A−0582347に開示されている。弗素化アルミナ担体上の白金のような他の好適な貴金属基触媒は、例えばUS−A−5059299及びWO−A−9220759に開示されている。]
[0052] 第二の種類の好適な水素化転化/水素化異性化触媒としては、少なくとも1種の第VIB族金属、好ましくはタングステン及び/又はモリブデンと、少なくとも1種の第VIII族非貴金属、好ましくはニッケル及び/又はコバルトとを水素化成分として含む触媒が含まれる。通常、いずれの金属又は両金属も酸化物、硫化物又はそれらの組合わせで存在してよい。第VIB族金属は、触媒の合計重量に対し元素として計算して、好適には1〜35重量%、更に好適には5〜30重量%の量で存在する。第VIII族非貴金属は、担体の合計重量に対し元素として計算して、好適には1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の量で存在する。特に好適であることが見出された、この種の水素化転化触媒は、弗素化アルミナ上にニッケル及びタングステンを担持してなる触媒である。]
[0053] 前記非貴金属をベースとする触媒は硫化物形態で使用することが好ましい。使用中、触媒を硫化物形態に維持するには、原料中に若干の硫黄が、例えば10mg/kg以上、更に好ましくは50〜150mg/kgの範囲で存在する必要がある。]
[0054] 非硫化物形態で使用できる好ましい触媒は、第VIII族非貴金属、例えば鉄又はニッケルを、第IB族金属、例えば銅と共に酸性支持体上に担持して構成される。銅は、パラフィンのメタンへの水素化分解を抑えるために存在することが好ましい。触媒は、水吸収法で測定した細孔容積が0.35〜1.10ml/gの範囲であり、BET窒素吸着法で測定した表面積が200〜500m2/gmであり、また嵩密度が0.4〜1.0g/mlであることが好ましい。触媒支持体は非晶質シリカ−アルミナ製が好ましく、このシリカ−アルミナにはアルミナが5〜96重量%、好ましくは20〜85重量%の範囲で存在してよい。シリカ含有量は、SiO2として、好ましくは15〜80重量%の範囲である。支持体は、バインダー、例えばアルミナ、シリカ、第IVA族金属酸化物、粘土、マグネシア等、好ましくはアルミナ又はシリカを少量、例えば20〜30重量%含有してもよい。]
[0055] 非晶質シリカ−アルミナ微小球体の製造については、Ryland,Lloyd B.,Tamele,M.W.及びWilson,J.N.,“Cracking Catalysts”,Catalysis;第VII巻、編集Paul H.Emmett,Reinhold Publishing Corporation,ニューヨーク、1960年、5−9頁に記載されている。]
[0056] この触媒は、溶液からこれら金属を支持体上に同時に含浸し、100〜150℃で乾燥し、次いで空気中、200〜550℃で焼成すれば製造できる。第VIII族金属は約15重量%以下、好ましくは1〜12重量%の量で存在してよく、一方、第IB族金属は、通常、これより少量存在し、例えば第IB族金属対第VIII族金属の重量比で約1:2〜約1:20存在する。一般的な触媒を以下に具体的に挙げる。
Ni、重量% 2.5〜3.5
Cu、重量% 0.25〜0.35
Al2O3−SiO2重量% 65〜75
Al2O3(バインダー)重量% 25〜30
表面積290〜325m2/g
細孔容積(Hg) 0.35〜0.45ml/g
嵩密度0.58〜0.68g/ml]
[0057] 他の種類の好適な水素化転化/水素化異性化触媒は、好適には少なくとも1種の第VIII族金属成分、好ましくはPt及び/又はPdを水素化成分として含有するモレキュラシーブ型材料をベースとする触媒を含む。次に、好適なゼオライト材料及びその他のアルミノシリケート材料としては、ゼオライトβ、ゼオライトY、超安定Y、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−48、MCM−68、ZSM−35、SSZ−32、フェリエライト、モルデナイト、及びSAPO−11、SAPO−31のようなシリカ−アルミノホスフェートが含まれる。好適な水素化転化/水素化異性化触媒の例は、例えばWO−A−9201657に記載されている。これら触媒の組合わせも可能である。]
[0058] 好適な水素化転化/水素化異性化方法は、ゼオライトβ又はZSM−48をベースとする触媒を使用する第一工程と、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−48、MCM−68、ZSM−35、SSZ−32、フェリエライト、モルデナイトをベースとする触媒を用いる第二工程とを含む方法である。後者のグループの中ではZSM−22、ZSM−23及びZSM−48が好ましい。このような方法の例は、US−A−20040065581に記載されている。この文献は、白金及びゼオライトβを含む第一工程触媒と白金及びZSM−48を含む第二工程触媒を用いる方法を開示している。]
[0059] フィッシャー・トロプシュ生成物に対し、まず、前述のように、シリカ−アルミナ担体を含む非晶質触媒を用いて第一の水素化異性化工程を行い、次いでモレキュラシーブを含む触媒を用いて第二の水素化異性化工程を行う組合わせ方法は、本発明で使用される基油を製造する好ましい方法としても確認された。第一及び第二水素化異性化工程を直列流で行うことが更に好ましい。これら2つの方法を、前記非晶質触媒及び/又は結晶性触媒を有する単一の反応器で行うのが最も好ましい。]
[0060] 工程(a)では原料は、触媒の存在下、高温高圧で水素と接触させる。温度は通常、175〜380℃、好ましくは250℃より高く、更に好ましくは300〜370℃の範囲である。圧力は通常、10〜250バール、好ましくは20〜80バールの範囲である。水素は、ガスの1時間当り空間速度 100〜10000Nl/l/hr、好ましくは500〜5000Nl/l/hrで供給してよい。炭化水素原料は、重量の1時間当り空間速度 0.1〜5kg/l/hr(原料質量/触媒床容積/時間)、好ましくは0.5kg/l/hrを超え、更に好ましくは2kg/l/hr未満で供給してよい。水素対炭化水素原料比は、100〜5000Nl/kgの範囲であってよく、好ましくは250〜2500Nl/kgである。]
[0061] 1パス当り370℃よりも高い沸点を有する原料が、370℃より低い沸点を有するフラクションまで反応する原料の重量%として定義される、工程(a)での転化率は、好適には少なくとも20重量%、更に好ましくは少なくとも25重量%であるが、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは65重量%以下である。前記定義で使用される原料は、工程(a)の全炭化水素原料であり、したがって、工程(b)で得られるような高沸点フラクションを任意に再循環させた分も含まれる。]
[0062] 工程(b)では、好ましくは工程(a)の生成物は、1つ以上の蒸留物燃料フラクションと、 所望の粘度特性を有する基油又は基油前駆体フラクションとに分離される。基油の流動点が所望の範囲でなければ、脱蝋工程(c)、好ましくは接触脱蝋により基油の流動点を更に降下させてよい。このような実施態様では、工程(a)の生成物の一層広い沸点範囲のフラクションを脱蝋するのが更に有利かも知れない。そうすると、得られる脱蝋生成物から、所要の通常、軽質の基油及び任意に所望の粘度を有する他の油が、例えば蒸留により有利に単離できる。脱蝋は、例えばWO−A−02070627(好適な脱蝋条件及び触媒の例について、特に第8頁第27行〜第11頁第6行参照)(この文献は、ここに援用する)に記載されるように、接触脱蝋により行うのが好ましい。脱蝋工程(c)の原料の最終沸点は、工程(a)の生成物の最終沸点、又は所望ならば、それ以下であってよい。通常、接触脱蝋器の原料は、C18〜C40又はC23〜C40の炭化水素を含有する。]
[0063] 例えば脱蝋工程(c)後、本発明の配合物を使用する前に、基油に対し、例えばWO−A−02070627の第11頁第7行〜第12頁第12行に記載されるように、水素化仕上げのような1つ以上の更なる処理を行ってよい。]
[0064] 本発明の基油配合物は2種以上のフィッシャー・トロプシュ誘導基油の混合物を含有してよい。この基油配合物は2種以上の鉱物誘導基油の混合物を含有してよい。
本発明の基油配合物において、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の濃度は2〜50重量%又は2〜45重量%、例えば10〜45重量%或いは15又は20〜45重量%であってよい。]
[0065] フィッシャー・トロプシュ誘導基油の濃度は、一般に全配合物の粘度、粘度指数、揮発減量、流動点及び/又はその他の関連する特性が確実に所望の範囲、例えば商用又は規制の仕様内に入るように、選択される。]
[0066] 配合物中の鉱物誘導基油の濃度は、これに対応して50〜98重量%又は55〜98重量%、例えば55〜90重量%或いは55〜85又は80重量%であってよい。]
[0067] フィッシャー・トロプシュ誘導基油及び鉱物誘導基油は、配合物中の唯一の基油成分であってよい。或いは、これらの基油は1種以上の追加の基油成分と組合わせて使用してもよい。このような追加の基油成分は、フィッシャー・トロプシュ誘導基油成分でも非フィッシャー・トロプシュ誘導基油成分でもよい。全配合物は、このような追加の基油成分を好適には20重量%未満、好ましくは10重量%未満含有する。]
[0068] 追加の基油成分の例としては、鉱物ベースのパラフィン型及びナフテン型基油、並びに合成基油、例えばエステル、ポリα−オレフィン、ポリアルキレンポリオール等が含まれる。基油配合物のバイオ分解性を改良するには、これらのうち、エステルが有利である可能性がある。存在すれば、追加のエステル基油の含有量は、全配合物に対し1〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%であってよい。好適なエステルは、脂肪族モノ、ジ及び/又はポリカルボン酸とイソトリデシルアルコールとをエステル化条件下で反応させることにより誘導できるエステルである。このような化合物の例は、オクタン−1,8−ジオン酸、2−エチルヘキサン−1,6−ジオン酸及びドデカン−1,12−ジオン酸、のイソトリデシルエステルである。好ましくはエステルは、ペンタエリスリトール(PET)の分岐鎖又は直鎖脂肪酸、好ましくはC6〜C10酸によるエステル化で作られるような、いわゆるペンタエリスリトールテトラ脂肪酸エステル(PETエステル)である。このようなエステルは不純物としてジ−PETを含有してよい。]
[0069] 本発明の基油配合物のVK 100(ASTMD−445)は3.8〜5cStであってよい。VK 40(同様にASTM D−445に従って測定した40℃での動粘度)は18〜27cStであってよい。基油配合物の粘度は、意図する用途により好適に合わされる。]
[0070] 配合物の粘度指数(ASTMD−2270)は、95〜120であってよい。−25℃で測定したCCS動力学粘度(ASTM D−5293)は1000〜2000cPでよい。]
[0071] 配合物の流動点(ASTMD−5950)は−30〜−6℃又は−25〜−10℃であってよい。D−93引火点(IP−34)は180〜210℃であってよい。Noack揮発減量(CECL−40−A−93)は16〜25重量%であってよい。]
[0072] 特定の用途(例えば特定型のエンジン)に関連して、配合物にとっては、全体として、例えば硫黄を100ppmw(100万重量部当たり部)以下、好ましくは50ppmw以下、更に好ましくは10又は5ppmw以下含有する適度に低い硫黄配合物又は低硫黄配合物であることが好ましい。]
[0073] 配合物は、鉱物誘導基油及びフィッシャー・トロプシュ誘導基油以外に、他の成分を含有してよい。例えば基油配合物に使用される従来型の1種以上の添加剤を含有してよい。このような添加剤のいずれの性状も配合物の意図する用途による。添加剤は、例えば耐摩耗添加剤、酸化防止剤、分散剤、洗浄剤、粘度改質剤、消泡剤、炭化水素型又は酸素化炭化水素型のような流動点降下剤、乳化剤、解乳化剤、腐食防止剤、シール膨潤剤、汚染防止添加剤、紫外線安定剤及び摩擦調整剤から選択してよい。]
[0074] このような添加剤の特定例は、例えばKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第14巻、477〜526頁に記載されている。好適には分散剤は無灰分分散剤、例えばポリブチレンスクシンイミドポリアミン又はマンニッヒ塩基型分散剤である。好適には洗浄剤は、過剰塩基化金属洗浄剤、例えば前記一般教本に記載されるようなホスホネート、スルホネート、フェノレート又はサリチレート型である。好適には粘度改質剤は、粘度改質性重合体、例えばポリイソブチレン、オレフィン共重合体、ポリメタクリレート及びポリアルキルスチレン並びに水素化ポリイソプレン星形重合体(Shellvis)である。好適な消泡剤の例は、ポリジメチルシロキサン、及びポリエチレングリコールエーテル及び同エステルである。]
[0075] 基油配合物の発泡性(gassing)を改良するには、芳香族化合物を0.05〜10重量%、又は0.1〜5重量%添加することが好ましい。好ましい芳香族化合物は、例えばテトラヒドロナフタレン、ジエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、又は“Shell Oil 4697”、“Shellsol A150”(両方ともShell Deutschland GmbHから得られる“シェル”製品)として市販されているアルキルベンゼンの混合物である。他の好ましい芳香族化合物の混合物は、2,6−ジ−t−ブチルフェノールと2,6−ジ−t−ブチルクレゾールとの混合物で構成される。基油配合物は、例えば2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.1〜3重量%と2,6−ジ−t−ブチルクレゾール0.1〜2重量%とを、好適には1:1〜1:1.5の重量比で含有してよい。]
[0076] 基油配合物は、例えばWO−A−2006136594第16〜18頁に記載され、時には静電放電抑制剤又は金属不活性化剤と言われる銅不活性化剤を含有してよい。]
[0077] 特記しない限り、基油配合物中のこれら各添加成分の濃度は、好ましくは50,000ppmw以下、10,000ppmw以下又は1000ppmw以下、例えば5〜1000ppmw以下である。(本明細書で引用した全ての添加剤濃度は、特記しない限り、有効成分の質量濃度を言う。更に、全ての濃度は、特記しない限り、基油配合物全体の%割合として引用する。)]
[0078] 前記挙げたような所望の1種以上の添加剤成分は、好ましくは1種以上の希釈剤と一緒に、添加剤濃縮物中に共に混合(co-mix)してよく、次いで、本発明の配合物を製造するため、添加剤濃縮物は鉱物誘導基油、フィッシャー・トロプシュ誘導基油又はこれら2つのブレンド中に分散してよい。]
[0079] 添加剤希釈油を含む基油配合物中の合計添加剤含有量は、好適には0.5〜20重量%、好ましくは20、15又は場合により10重量%未満であってよい。]
[0080] 本発明の配合物が1種以上の常温流れ添加剤、例えば流動点降下剤を含有する場合、この種の添加剤はフィッシャー・トロプシュ誘導基油が存在するため、低濃度で存在してよい。こうして、例えば意図する用途に関連して、配合物は、所要又は所望の特性及び性能を達成するために常温流れ添加剤を導入した場合の該添加剤の濃度よりも20、30又は40%以下、低い濃度で常温流れ添加剤を含有できる。この濃度低下は、本発明により提供された方法に従ってフィッシャー・トロプシュ誘導基油の使用を実現化する前に基油配合物中に存在していた常温流れ添加剤の濃度、或いは類似の関連する用途を意図した(例えば市販する)他の類似の基油配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導基油を加える前に該基油配合物中に存在していた常温流れ添加剤の濃度と比べてよい。]
[0081] こうして、例えば本発明の基油配合物は常温流れ添加剤、特に流動点降下剤を3000ppmw未満、好適には1500ppmw未満含有してよい。]
[0082] 同様に、本発明の配合物が1種以上の粘度調整添加剤を含有する場合、この種の添加剤は、フィッシャー・トロプシュ誘導基油が存在するため、低濃度で存在してよい。こうして、例えば意図する用途に関連して、配合物は、所要又は所望の特性及び性能を達成するために粘度調整添加剤を導入した場合の該添加剤の濃度よりも30%以下、低い濃度で粘度調整添加剤を含有できる。この濃度低下は、本発明により提供された方法に従ってフィッシャー・トロプシュ誘導基油の使用を実現化する前に基油配合物中に存在していた粘度調整添加剤の濃度、或いは類似の関連する用途を意図した(例えば市販する)他の類似の基油配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導基油を加える前に該基油配合物中に存在していた粘度調整添加剤の濃度と比べてよい。]
[0083] こうして、例えば本発明の基油配合物は粘度調整添加剤(通常、濃厚重合体溶液として含まれる)を10重量%以下、好適には9、8、7、6又は5重量%以下含有してよい。]
[0084] 本発明の配合物が1種以上の酸化防止添加剤又はその他の安定化添加剤を含有する場合、この種の添加剤も、フィッシャー・トロプシュ誘導基油が存在するため、低濃度で存在してよい。こうして、例えば意図する用途に関連して、配合物は、所要又は所望の特性及び性能を達成するために酸化防止添加剤を導入した場合の該添加剤の濃度よりも20%以下、低い濃度で酸化防止添加剤を含有できる。この濃度低下は、本発明により提供された方法に従ってフィッシャー・トロプシュ誘導基油の使用を実現化する前に基油配合物中に存在していた酸化防止添加剤の濃度、或いは類似の関連する用途を意図した(例えば市販する)他の類似の基油配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導基油を加える前に該基油配合物中に存在していた酸化防止添加剤の濃度と比べてよい。]
[0085] こうして、例えば本発明の基油配合物は酸化防止添加剤を5000ppmw未満、好適には4000又は3000ppmw以下含有してよい。]
[0086] 本発明の基油配合物は広範な用途に好適かも知れない。例えば潤滑油、例えば内燃機関用のエンジンオイルとして、或いは工業用潤滑油としての用途に好適である、及び/又は適合する、及び/又は意図される、かも知れない。基油配合物は変速機(transmission)油、特に自動変速機油、作動油、タービン油(例えばガスタービン、水蒸気タービン又は組み合わせサイクルタービン用)又はプロセス油としての用途に好適である、及び/又は適合する、及び/又は意図される、かも知れない。]
[0087] 基油配合物は、寒冷地及び/又は寒冷季中での使用に適応する、及び/又は意図されるかも知れない。例えば車両エンジンのようなシステムに使用した場合、基油配合物の常温流れ性能は、このような条件下でシステムの性能全体に影響を与えることができる。]
[0088] フィッシャー・トロプシュ誘導基油は、鉱油誘導対応品と比べて比較的高い生分解性を有するので、本発明の配合物は、生分解性に関心のある所で使用する、例えば電車、電動自動車、ハイブリッド動力自動車のような移動用(mobile)電気機器にトランス油として使用するのに特に有利である可能性がある。本発明の配合物は、例えば国立公園、保護地域、飲料水(water)保護区域、飲料水(potable water)貯蔵施設等の環境保護指定区域に使用される設備に同様に利用を見出してもよい。]
[0089] 本発明基油配合物の生分解性は、例えば前述のようなエステル系基油を含有させると、更に向上するかも知れない。]
[0090] 第二の局面では本発明は、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の導入により生じる、鉱物誘導基油を含有する基油配合物の揮発減量の増大が、好適には過度に生じないこと、及び/又は理論的に予測した値よりも低下することにより、該配合物の特性の1つを改良する目的で、鉱物誘導基油含有基油配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を使用する方法(use)を提供する。以上のように、このような配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を導入すると、揮発減量の増大が予測した値よりも低下すると同時に、他の特性を所望通り確実に改良することが見出された。こうして、基油配合物の揮発減量は、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の導入後、従来の(通常の鉱物誘導)基油又は同じ目的に使用することを意図した(例えば市販する)基油配合物の揮発減量増大よりも依然として低いことが好ましい。]
[0091] フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、特に常温流れ特性(特に流動点)、粘度分布(特に粘度指数及び/又はCCS動力学粘度)及び酸化安定性から選択された一特性を改良する目的に使用できる。更に特にこの軽質基油は、配合物の流動点、粘度指数及び/又は酸化安定性の改良に使用できる。幾つかの場合、酸化安定性の改良が特に重要かも知れない。]
[0092] 本発明の第三の局面は、(i)鉱物誘導基油の関連特性を測定する工程、及び(ii)該基油をフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油と、ブレンド全体の関連特性を改良するのに十分な量でブレンドする工程を含む鉱物誘導基油の配合方法を提供する。この関連特性は、例えば上記に挙げた特性、特に粘度指数及びCCS動力学粘度から選択してよい。この特性改良は、本発明の第二の局面と関連して前述したように、鉱物誘導基油単独の場合と比べてブレンドの揮発減量が過度に増大することなく達成されることが好ましい。]
[0093] 基油又は基油配合物の揮発減量は、好適にはNoack揮発減量を測定することにより評価できる。Noack揮発減量は、基油又は基油配合物を特定の温度及び特定の条件下で加熱した時、減量した油の%割合を表す。この値の低下は、揮発減量の低下を示し、基油配合物に関連して、改良とみなしてよい。Noack揮発減量は、標準試験法CECL−40−A−93又は類似の方法を用いて測定できる。]
[0094] 基油又は基油配合物の常温流れ特性は、好適には配合物の動きが観察できる最低温度を測定することにより評価できる。流動点の低下は、常温流れ特性の改良を示し、次いで、配合物を効率的に使用できる条件の範囲を増大できる。流動点は、好適には標準試験法ASTMD−5950又は類似の方法を用いて測定できる。]
[0095] 常温流れ特性も例えば標準試験法ASTMD−5771又は類似の方法を用いて曇り点を測定することにより評価できる。また曇り点の低下は常温流れ特性の改良を示す。常温流れ特性は、代りに又は更に、特に自動変速機油として、又は該変速機油に使用することを意図した基油に関連して、例えば標準試験法ASTM D−2983を用いてブルックフィールド粘度を測定することにより評価してもよい。ブルックフィールド粘度の低下は、常温流れ特性の改良を示す。]
[0096] 一般に常温流れ特性の改良は、基油配合物を使用するシステムが所定の基準にまで達成できる最小温度の低下により表してよい。]
[0097] 基油又は基油配合物の粘度指数は、温度によって動粘度が変化する程度の尺度であって、標準試験法ASTMD−2270又は類似の方法を用いて好適に評価できる。基油配合物に関連して、粘度指数の増大は改良とみなしてよい。]
[0098] 基油又は基油配合物のCCS動力学粘度は、標準試験法ASTMD−5293又は類似の方法を用いて好適に評価できる。CCS動力学粘度は、配合物の選択肢を拡大し、所望の全体粘度を示すように基油ブレンドを作製する一助となり、また耐摩擦性及び揮発減量の改良に寄与することが可能なので、基油配合物に関連して、この動力学粘度値の低下は改良とみなしてよい。]
[0099] 基油又は基油配合物の酸化安定性は、TOST、即ち、タービン油安定性試験(Turbine Oil Stability Test)(ASTMD−943)、又は類似の方法を用いて好適に評価できる。基油配合物に関連して、配合物のTOST寿命(例えば時間で測定)の増大は改良とみなしてよい。]
[0100] 本発明の第二及び第三局面に関連して、基油配合物の一特性を“改良する(又は向上する)こと”とは、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を導入する前の該配合物の性能と比べて、いかなる程度の改良(又は向上)も包含する。これは、例えば所望の目標、例えば所望の目標Naock揮発減量、流動点、粘度指数、CCS動力学粘度又は酸化安定性に適合させるため、フィッシャー・トロプシュ誘導基油により配合物の関連特性を調節することを含んでよい。同様に、基油配合物の測定特性を“増大させること”及び“低下(又は減少)させること(reducing)”とは、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を導入する前の該配合物の特性と比べて、事情に応じて、いかなる程度の増大又は低下(又は減少)も包含する。]
[0101] 本発明に関連して、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の基油配合物への“使用(又は使用方法)”とは、該軽質基油を、1種以上の他の基油成分(鉱物誘導基油を含む)及び任意に1種以上の基油添加剤とのブレンド(即ち、物理的混合物)として、配合物中に導入することを意味する。フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、配合物を用いて操作(run)されるシステム(例えばエンジン)に配合物を導入する前に導入するのが都合良い。その代わりに又は更に、前記使用は、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を含む基油配合物をこのようなシステムに用いて、システムを操作することを包含してよい。]
[0102] またフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の“使用(又は使用方法)”は、本発明の第二、第三、第四及び/又は第五局面の目的を達成するため、例えば所望目標の揮発減量、及び/又は所望目標の、流動点、粘度指数又はCCS動力学粘度又は酸化安定性を達成するため、或いは基油配合物中の添加剤の濃度を低下させるため、基油配合物に該軽質基油を使用するための指示と一緒に、この種の基油を供給することを包含する。]
[0103] フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油自体を、基油添加物として使用するのに好適な、組成物の一成分として、及び/又は基油添加物として使用することを意図した、組成物の一成分として、供給してよい。この場合、フィッシャー・トロプシュ誘導基油は、基油配合物の前記関連する特性に影響を与える目的でこのような組成物に含有されてよい。こうして、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、1種以上の他の基油添加剤と一緒に、添加剤組成物又は添加剤パッケージに導入してよい。]
[0104] 本発明の第四の局面では、鉱物誘導基油含有基油配合物の揮発減量を、該配合物に対する目標最大値Xをなお達成しながら、該配合物の1つ以上の特性、例えば前述の列挙した特性を改良する方法において、該配合物の揮発減量を目標最大値Xを超えて増大させることなく、該配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を添加できる、理論的に予測した最大濃度c’よりも高い濃度cのフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を該配合物に添加する工程を含む該改良方法が提供される。]
[0105] フィッシャー・トロプシュ基油の理論的最大濃度c’、及びこの濃度と配合物の揮発減量との関係は、配合物の個々の成分(即ち、通常は鉱物誘導基油及びフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油)の揮発減量に基づく直線的配合規則を用いて好適に計算される。]
[0106] 本発明の第五の局面は、鉱油含有基油配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を濃度cで用いて達成可能であることを理論的に予測した、該配合物の揮発減量よりも低い揮発減量を同時に達成しながら、該配合物の他の1つ以上の特性を改良する目的で、鉱油含有基油配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を濃度cで使用する方法(use)を提供する。鉱物誘導基油及びフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の両方をいずれかの所定の重量比で含有する配合物の理論的揮発減量を予測するため、同様に直線的配合規則を使用してよい。]
[0107] 鉱物誘導基油及びフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の両方を含有する配合物に対し予測されたとおりに理論を利用した場合、次に、該配合物の揮発減量を所望の目標最大値を超えて増大させることなく、該配合物に含有できたフィッシャー・トロプシュ基油の量を正直に計算することである。しかし、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、該軽質基油よりも高粘度の鉱物誘導基油とブレンドすると、理論を利用した場合に起こることが予測された揮発減量増大の低下よりも低い揮発減量増大をもたらすことが今回、見出された。これにより、配合物中に更に多量のフィッシャー・トロプシュ誘導基油を含有させることが可能であり、こうして、例えば理想的には前述のように、配合物中に存在する例えば常温流れ添加剤、粘度向上剤又は酸化防止剤を更に低い濃度にするか、或いは無くすことが可能と考えられる場合よりも常温流れ性能、粘度分布及び/又は酸化安定性は更に大幅に改良される。]
[0108] 現在の基油配合物に対する健康及び安全仕様に適合させるため、及び/又は消費者の要求を満足させるため、多くの場合、特定の最大揮発減量は望ましい。同様に、特定レベルの常温流れ性能(例えば最大流動点)は、特定の最小粘度指数、特定の最大CCS動力学粘度及び/又は特定の最低レベルの酸化安定性のような関連する基油仕様に適合させるために望ましいかも知れない。本発明では、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を含有するため、多くの場合、添加剤が低いレベルで存在するか或いは添加剤無しでも、フィッシャー・トロプシュ軽質基油を含有するため、これらの基準は全て、同時に達成できるかも知れない。]
[0109] 本発明の第六の局面は、基油配合物に対する1つ以上の所望の目標特性を達成するために必要としていた品質よりも低品質の鉱物誘導基油を該配合物に使用可能にする目的で、基油配合物又は基油配合物の製造にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を使用する方法(use)を提供する。]
[0110] これに関連して、前述のように“低品質”鉱物誘導基油は、通常、低い程度の処理、特に水素化処理及び/又は脱蝋を受けた鉱物誘導基油である。“低い程度”の処理は、短時間の処理及び/又は厳密性の低い条件下(例えば低い水素化処理温度;品質向上工程で厳密性の低い抽出を使用する;接触脱蝋とは対照的に溶剤により;溶剤又は接触脱蝋工程でそれぞれ蝋除去又は転化の程度を低くすることにより)、及び/又は処理工程の完全除去を含んでよい。低品質鉱物誘導基油は、通常、粘度指数が低い、及び/又は揮発減量が大きい。該基油は不飽和物(特に芳香族)、ナフテン及び蝋から選ばれた高濃度の1種以上の成分を含有してよい。]
[0111] 配合物に対する1つ以上の所望の目標特性は、例えば揮発減量、常温流れ特性(特に流動点)、粘度指数、CCS動力学粘度及び酸化安定性から選択してよい。]
[0112] 本発明の第七局面では、鉱物誘導基油をフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油とブレンドする工程を含む、第一局面のような基油配合物の製造方法が提供される。ブレンドは、本発明の第二〜第六の局面に関連して前述した目的の1つ以上のため、特に、得られた基油配合物の粘度指数、常温流れ特性、酸化安定性、CCS動力学粘度及び/又は揮発減量のため行ってよい。]
[0113] この方法は、特に鉱物誘導基油の品質を向上する目的で行ってよい。例えばグループI鉱物誘導基油をグループIIに、又はグループIIをグループIIIに“品質向上する”ため、或いは比較的低品質のグループII鉱物誘導基油の特性を改良するため、本方法を用いてよい。]
[0114] 本発明の好ましい一実施態様では、この方法は、鉱物誘導基油又は該基油を含む配合物において1つ以上の所望の特性を得るため、使用された予備処理よりも低い程度の処理を用いて鉱物誘導基油を製造する工程を含んでよい。例えば鉱物誘導基油の製造に使用される処理工程の長さ及び/又は厳密性を低下させること、或いは処理工程を完全に省略することを含んでよい。こうして、本発明の第七局面による方法は、鉱物誘導基油の製造中に行った予備処理に比べて、慎重な該基油の下処理工程、及び今回、受ける低い程度の処理で生じる鉱物誘導基油の特性の変化を、少なくとも部分的に補償するため、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を使用する工程を含んでよい。この方法は、例えば鉱物基油を低粘度指数に処理する工程を含んでよい。]
[0115] 本発明の第八の局面は、第一局面の基油配合物、及び/又は第二〜第七局面のいずれか1つに従って製造した基油配合物を含むシステム、例えばエンジン又はその部品を提供する。]
[0116] 本明細書の説明及び特許請求の範囲を通じて語句“含む(又は含有する)(comprise)”及び“含有する(又は有する)(contain)”及び語句の変化、例えば“含むこと(comprising)”及び“含む(comprise)”は、“限定されるものではないが、‥‥を含むこと(including but not limited to)”を意味し、他の部分(moieties)、添加剤、成分、整数(integer)又は工程を除外すること(及び除外しないこと)を意図しない。]
[0117] 本明細書の説明及び特許請求の範囲を通じて、特に状況(context)が要求しない限り、単数は複数を包含する。特に不定冠詞(the indefinite article)を用いる場合、特に状況が要求しない限り、単数は勿論、複数も考慮すると理解すべきである。
本発明の各局面の好ましい特徴は、他の局面のいずれかと関連して説明したとおりであってよい。]
[0118] 本発明の他の特徴は、以下の実施例から明らかとなろう。一般的に言えば、本発明は明細書(添付の特許請求の範囲及び図面を含む)に開示した複数の特徴のいずれかの新規な特徴、又はいずれかの新規な組み合わせに拡がる。こうして、本発明の特定の特徴、実施態様又は実施例と関連して説明した特徴、整数、特性、化合物、化学部分又は基は、これらと両立する限り、ここに記載したいずれの他の局面、実施態様又は実施例にも利用可能であると理解すべきである。]
[0119] 更に特に言及しない限り、ここに開示したいずれの特徴も同じ又は類似の目的に役立つ代りの特徴で置き換えてよい。
以下の実施例は、本発明の基油配合物の特性及び性能を説明し、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の鉱物誘導基油含有配合物に対する効果を評価する。]
[0120] 実施例1
“下処理済み”鉱物誘導グループI基油をグループII/IIIフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油(FTBO)とブレンドして、本発明の配合物を製造できる。基油は、例えば約93又は92の粘度指数に処理しただけのものであってもよいが、更に通常のグループI基油は95以上の粘度指数まで処理される。]
[0121] この実験では、使用した下処理済み鉱物誘導グループI基油は、VK 100(ASTMD−445)が5.341cSt、VK 40(ASTM D−445)が33.02cSt、及び粘度指数(ASTM D−2270)が92であった。極性体の見積り合計含有量は32.8重量%であった。フィッシャー・トロプシュ基油は、VK 100が2.68cSt、粘度指数が119であった。これら2種の成分を、全体のVK 100が約4cStのブレンドが得られるように、71.0〜29.0の重量比でブレンドした。]
[0122] このようなブレンドの実験的に測定した特性を下記表1に示す。この表は、従来通り処理した通常のグループI鉱物基油(この場合は、HVI−55、シェルCAPSA、アルゼンチンから)の関連特性も示す。この鉱物基油は本発明に従って製造したブレンドに対する“目標”特性とみなしてよい。]
[0123] ]
[0124] 表1は、鉱油の粘度指数を上げる、したがって、品質を上げるためにフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油をどのように使用してよいかを示す。フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油は、固有の高い揮発減量のため、鉱油単独の場合に比べてブレンドの揮発減量を増大させるが、この増大は、ブレンド全体にクランクケース油配合物ブレンドの合格値を超えさせないことが注目される。]
[0125] またフィッシャー・トロプシュ油は鉱油の酸化安定性を改良することが認められる。
実際に表示したパラメーターの全てに対し、本発明に従って製造したブレンドは、従来通り処理したグループI基油の目標特性に適合するばかりでなく、実際に改良する。]
[0126] 本発明ブレンド中のフィッシャー・トロプシュ油の濃度は、所望の仕様に合わせるため、例えば所望の最小粘度指数を得るため、及び/又は異なる方法で製造した他の基油又は基油配合物の特性を真似るため、1つ以上のこのような特性を注文通り作るように変更してよい。]
[0127] 実施例2
フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油(VK 100=約3cSt)22.7重量%と市販の標準グループI鉱物基油(HVI−65、シェルPernis製油所、ロッテルダム、オランダ;VK 100=約5cSt、粘度指数100)77.3重量%を一緒にブレンドして、本発明の基油配合物を製造した。]
[0128] 比較的厳密な水素化処理工程及び接触脱蝋工程を含む前述の一般型の方法を用いて、フィッシャー・トロプシュ誘導基油(FTBO)を製造した。その特性を下記表2(表2−1、表2−2、表2−3)に示す。]
[0129] ]
[0130] VK 100が約4cStである基油ブレンドの特性を下記表3に示す。同表にはブレンドに必要な目標特性も示す。これらは標準直留4cStグループI鉱物基油の特性である。]
[0131] ]
[0132] これらのデータは、また、鉱物誘導基油をフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油とブレンドすることが、所望の目標仕様を得るために、ブレンド全体の特性を注文通りに作るのに使用できることを示す。この場合、ブレンドの粘度指数は目標値よりも高いが、Naock揮発減量及び流動点は目標値よりも低い。こうして、ブレンド全体の品質及び目的適合性は、揮発減量の過度の損失なく改良できる。実際に比較的揮発減量の高いフィッシャー・トロプシュ成分が存在するにも拘らず、ブレンド全体の揮発減量は所望の仕様内で依然として良好である。]
[0133] 実施例3
全体のVK 100が約4cStのブレンドを作るため、実施例1及び2で使用したフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油B−1 41重量%を、市販の鉱物誘導グループII(VK 100=約6cSt、MotiveLLC、Port Arther、テキサス、米国からStar 6)MO−1 59重量%とブレンドして、更に本発明の基油配合物を製造した。]
[0134] 全体のVK 100が約4cStのブレンドを作るため、実施例1及び2で使用したフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油B−2 44重量%を、市販の鉱物誘導グループII(VK 100=6.85cSt、MotiveLLC、Port Arther、テキサス、米国からStar 6)MO−2 56重量%とブレンドして、再び本発明の基油配合物を製造した。]
[0135] 2種のブレンドB−1及びB−2並びにこれらブレンドの各成分の特性を下記表4に示す。この表にもブレンドに必要な目標特性も示す。これらはVK 100が約4cStである市販の鉱物誘導基油(即ち、目的に適合する標準直留4cStグループII基油)の特性である。
使用した試験法は実施例2と同じである。]
[0136] ]
[0137] 表4(表4−1、表4−2)は、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油とのブレンドにより鉱物基油の特性が品質向上して、特定の所望基準に適合できることを示す。この場合、実際に再び本発明ブレンドの特性は、“目標”とする4cSt基油の特性に対し向上した。ブレンドB−2の場合、グループII鉱物基油MO−2は品質向上し、グループIIIの範囲内の粘度指数を持っていた。]
[0138] 所定のいずれの鉱物基油も低い程度、即ち、通常よりも低品質に処理し、引続き、フィッシャー・トロプシュ軽質基油とのブレンドにより、元の基準(又は実際に他の所望の基準)まで品質向上することができる。]
実施例

[0139] 特に表4のデータは、ブレンド全体の粘度指数が鉱油単独の場合に比べて顕著に増大し、また流動点が低下し、両特性とも目標値の点で向上したことを示す。ブレンドのNaock揮発減量も目標値より十分低く、フィッシャー・トロプシュ油の存在により、揮発減量の増大は予測できた値よりも少なかった。
ブレンドの冷時始動シミュレーター粘度も著しく低下し、実際に目標鉱物基油の場合よりも十分低かった。]
[0140] WO−A−02070627
WO−A−02070629
US−B−7144497
GB−B−2077289
EP−A−0147873
EP−A−0583836
US−A−4125566
US−A−4478955
WO−A−2006136594
EP−A−776959
EP−A−668342
US−A−4943672
US−A−5059299
WO−A−9934917
WO−A−9920720
WO−A−9410264
EP−A−0582347
WO−A−9220759
WO−A−9201657
US−A−20040065581]
先行技術

[0141] Ryland,Lloyd B.,Tamele,M.W.及びWilson,J.N.,“Cracking Catalysts”,Catalysis;第VII巻、編集Paul H.Emmett,Reinhold Publishing Corporation,ニューヨーク、1960年、5−9頁
Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第14巻、477〜526頁]
权利要求:

請求項1
鉱物誘導基油とフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油とのブレンドを含有する基油配合物。
請求項2
前記鉱物誘導基油の粘度指数(ASTMD−2270)が95未満である請求項1に記載の基油配合物。
請求項3
前記フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の粘度指数(ASTMD−2270)が115以上である請求項1又は2に記載の基油配合物。
請求項4
前記フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の濃度が2〜45重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の基油配合物。
請求項5
フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油の導入により生じる、鉱物誘導基油を含有する基油配合物の揮発減量の増大が理論的に予測した値よりも低下することにより、常温流れ特性、粘度分布及び酸化安定性から選択された、該配合物の一特性を改良する目的で、鉱物誘導基油含有基油配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を使用する方法。
請求項6
鉱物誘導基油を含有する基油配合物に対する目標最大揮発減量Xをなお達成しながら、常温流れ特性、粘度分布及び酸化安定性から選択された、該配合物の1つ以上の特性を改良する方法において、該配合物の揮発減量を目標最大値Xを超えて増大させることなく、該配合物にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を添加できる、理論的に予測した最大濃度c’よりも高い濃度cのフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を該配合物に添加する工程を含む該方法。
請求項7
基油配合物に対する1つ以上の所望の目標特性を達成するのに必要とする品質よりも低品質の鉱物誘導基油を該配合物に使用可能にする目的で、該基油配合物又は基油配合物の製造にフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を使用する方法。
請求項8
鉱物誘導基油をフィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油とブレンドする工程を含む基油配合物の製造方法であって、該方法は鉱物誘導基油を品質向上する目的で行われ、鉱物誘導基油又はこれを含む配合物において1つ以上の所望特性を達成するため、既に使用した予備処理よりも低い程度の処理を用いて該鉱物誘導基油を製造する工程を含む基油配合物の製造方法。
請求項9
前記鉱物誘導基油を慎重に下処理する工程、及び今度、行なう前記低い程度の処理で生じる鉱物誘導基油の特性変化を、少なくとも部分的に補償するため、フィッシャー・トロプシュ誘導軽質基油を用いる工程を含む請求項8に記載の製造方法。
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